課題曲 V 吹奏楽のための「幻想曲」-アルノルト・シェーンベルク讃/尾方凜斗

みなさんこんにちは!

トランペットを吹いたり、教えたりしている荻原明(おぎわらあきら)と申します。このサイトの管理者です。

 

「荻原明オフィシャルサイト」にて今年も課題曲トランペットパート解説を開催しております。

 

ついに最後の曲解説になりました!

が、それにしても…危惧してはおりましたが、各地で早々に吹奏楽コンクール中止のアナウンスがされ始めてきました。これまで日本の情勢が変化してもコンクールが中止になることは戦時中以外なかったわけですから、現在の状況が極めて深刻なのがわかります。

そんな状態なので、これ以上課題曲解説をする意味があるのかな、とも思ったのですが、ここまで掲載してきて課題曲Ⅴだけ書かないのもどうかと思ったので、少しだけ書きます。

 

 

では課題曲Ⅴ「吹奏楽のための「幻想曲」-アルノルト・シェーンベルク讃」の解説です。

 

 

作品について

例年通り課題曲Ⅴは、いわゆる現代曲枠です。とは言え、楽譜が楽譜の形をしていないとか、そういうものでもありませんから、パッと見て楽譜が細かいなあ、と言った印象を持つレベルだと思います(特に今回は)。きちんと順序立てて練習すれば大パニックになることもないでしょう。

 

この作品の副題には「アルノルト・シェーンベルク」と書かれています。シェーンベルク、ご存知ですか?1874年生まれのオーストリアの作曲家で「十二音技法」を作った人です。

 

十二音技法とは

十二音技法をお話する前に、音楽の基礎をおさらいしておきましょう。ピアノの鍵盤を見ると、1オクターブの中に12個の鍵盤=音があります。これらは1オクターブを12等分した音程なので「十二平均律」と呼び、それぞれ隣り合う音を「半音」と定めています。

そしてどれか一つの音をスタート音と定めて「全音程(半音2つ分)」もしくは「半音程」を規則性のある順番に7つ並べると「音階」になります。長音階の場合は、このような順番になります。

このように7つの音のメインキャラクターが登場することで、その作品(場面)の特徴である「調性感」が生まれます。

 

全音程と半音程の順番に規則性を持たせることで音階になるわけですから、スタート音がどこであっても音階を作ることができるため、それらを差別化するために「〇〇調」と名前をつけています。音部記号(ト音記号など)の横についている(複数の)シャープやフラットは、この作品(場面)が何調であるかを視覚的にわかるように書かれている「調号」と呼ばれるものです。

 

こうした平均律で作られた音階は今からおよそ300年くらい前から続いているもので、現在最も一般的な音楽の基本です。

 

 

音階や調に関して、もっと詳しく知りたい方は私が執筆しているブログ「ラッパの吹き方:Re」の記事、

 

楽譜を読むための基本6『調と音階について その1』

楽譜を読むための基本6『調と音階について その2』

をご覧ください。

作品の中にある十二音技法

1900年に入ったあたりで、この作品の副題に登場する作曲家シェーンベルクによって「十二音技法」というものが作られました。十二音技法とは簡単に言えば、1オクターブの中にある12個の音を均等に使って音楽を作る方法で、平均律のようにメインキャラクターや主人公などが存在しないため、結果として調が存在しない「無調」の作品ができあがるわけです。

 

この課題曲の副題に「シェーンベルク」の名前が出てきたので、十二音技法的なものが出てくるのだろうな、という推測はしていました。

 

と、まあエラそうに解説しているわけですが、僕は作曲家でもなければそこまで詳しく学んでいるわけではないので、かじった程度の知識しかありませんすいません。

 

実際の十二音技法は厳密なルールがあるようですが、この作品はそこまで徹底したものではないようです。では、この作品に出てくる十二音技法を元にしているフレーズをいくつか見てみましょう。

​[冒頭Bbクラリネット1st]

この作品はBbクラリネットのソロから始まります。何とも言えない不思議で捉え所のない不安定なメロディですね。着地点(始まった!とか帰ってきた!という音)がない十二音技法の特徴がここにあります。

 

まずそれぞれの音に番号を振ってみましょう。

このメロディを全部同じ音価にすると以下のようになります。

そして鍵盤にはめ込んでみると、このようになります。

オクターブを変えているところがありますが、すべての音をひとつずつ使用しているのがわかります。

 

 

同様に7小節目フルート1stを調べてみてください。ここも同じように作られていることがわかると思います。

そう言えば忘れていましたがこの記事は一応トランペットの解説なので、トランペットパートを見てみましょう。

 

 

[練習番号6 1stトランペット]

やはり同じようにできていることがわかります(オクターブを変えている音があります)。

[練習番号9 トランペットパート]

作品のクライマックス、シンコペーションの連続部分、ここもやはり、

(これもオクターブを変えている音があります)

 

あれ、ひとつ音がたりませんね。次の小節を見てみましょう。

なんと大胆なことに全ての楽器が実音Dになってます。「12個目の音は~、D!D!D!D!D!D!D!D!D!」と、理屈を知ってからこの部分を聴くとちょっと面白いですよね。

 

しかもお気付きでしょうか。この練習番号9で演奏している音の順番、冒頭部分でBbクラリネットが演奏していたものとまったく同じですね。

 

 

このように課題曲5には十二音技法が至るところに使われているのがわかります。みなさんもスコアを見て、探してみてください。

 

 

 

...で、本当だったら他にもお話をしようと思ったのですが、コンクールの雲行きが怪しくなったので、この解説はここで終わりということにします。

トランペットに関する様々な情報は、私の執筆しているブログ「ラッパの吹き方:Re」や、ハイノートに関する記事だけを集中的に書いた「ハイノート本」、トランペットの演奏に使われてるテクニックをひとつの記事で徹底的に解説する「技術本(テクニック本」などがございますので、ぜひそちらを参考になさってください。

 

リンクなどは以下をご覧ください。

 

 

 

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各週火曜日更新のブログ「ラッパの吹き方:Re」と、交互に掲載しております「技術本(テクニックぼん)」もぜひご覧ください。

 

 

 

 

以上で今年度吹奏楽コンクール課題曲すべてのトランペットパート解説が完了いたしました。お読みくださりありがとうございました!荻原明オフィシャルサイトには他にも様々なページがございますので、ぜひご覧ください!

 

 

 

 

荻原明(おぎわらあきら)

© 2017 AKIRA Ogiwara

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